ワシントンからの報告 – IMF年次総会の要点
私たちはワシントンD.C.で開催されたIMF年次総会に参加し、世界中の政策立案者や中央銀行関係者と意見交換を行いました。全体的なコンセンサスとして、世界のマクロ経済見通しは堅調であり、急成長ではないものの、底堅く推移していると見られています。これは、ハト派的なFRB(米連邦準備制度)とAI関連の設備投資が成長を大きく後押しするという強い確信に支えられています。
中国はレアアース(希少金属)における支配力により、貿易戦争では優位に立っているようです。関税はもはや市場の主要な懸念事項ではありませんが、米国政府が貿易制限を強化する方向に動けば、状況は急変する可能性があります。
米国政府のシャットダウン(予算未成立による機能停止)は近く解決される見込みであり、現時点では重大なリスクとは見なされていません。ロシアとの緊張は依然として高いものの、欧州との連携には慎重な姿勢を見せています。
今後の貿易関連の重要な展開として、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の改定が注目されています。新興国の中央銀行は概ねタカ派的なメッセージを発しており、インフレ抑制への強いコミットメントを示しています。
ラテンアメリカでは、今後の選挙が地域の政治情勢を大きく変える可能性があるとして注目されています。
日本に対する投資家のセンチメントはまちまちであり、新政権の方針が明確になるのを待っている状況です。
米中 – 貿易戦争は続く
先週、米中間の緊張が再燃し、市場に不確実性をもたらしました。韓国で予定されていたトランプ氏と習近平氏の会談は延期される見通しであり、トランプ氏の方が会談に積極的な様子を見せている一方で、習近平氏は慎重な姿勢を崩していません。
トランプ氏は、これまで通り「対立を煽ってから和解を図る」というパターンを踏襲しており、最近ではその強硬な発言をトーンダウンさせています。一方で、中国は重要なサプライチェーンにおける優位性を背景に、米国に対して大きな影響力を保持しています。
今後も米中関係は悪化が続くと予想されますが、主に非関税措置を通じて進行し、長期的な貿易戦争が両国間で継続すると見込まれます。
作成:Algebris Investments Global Credit Team
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