株式市場は夏に熱気を帯びる
グローバル株式市場はこの2か月で大きく上昇しました。S&P500は年初来でドルベース+13%の上昇を記録し、そのほぼすべてが利益成長によるものです。
欧州でも市場は上昇し、年初来+13%のリターンを達成しました。上昇要因は主に、極端に低水準だったバリュエーションの拡大で、こちらも大きな利益成長がみられます。イタリアは際立ったパフォーマンスを示し、PE倍率は年初来で30%超拡大し、産業分野での景気循環回復を先取りする動きとなっています。これによりEPSの押し上げは2026年から始まる見込みです。アジアも夏にかけて大きく加速しました。7月中旬以降、日本と中国はそれぞれ+14%、+3%の上昇を記録し、利益モメンタムの明確な回復に支えられています。

生産性主導の強気相場
米国市場の強さは本質的に利益にあり、その利益はマージンに依存しています。S&P500の営業利益率は第2四半期に約12.5%まで上昇し、2021年以来の高水準で、長期平均の約9%を大きく上回っています。これは、一定の売上に対してEPSを機械的に押し上げます。価格決定力、コスト管理、資産軽量型・高収益モデルへの移行も寄与しましたが、最大の要因は生産性の上昇です。クラウド、データ、オートメーション、そして現在のAIへの長年の投資により、S&P500企業の従業員一人当たり実質売上高は過去最高を記録し、同じ(あるいはより少ない)人員でより多くを実現できるようになっています。この組み合わせは強力な営業レバレッジを生み、わずかな売上成長が大きな利益増に転換され、マクロの再加速がなくても株価を支えます。生産性成長が賃金インフレを上回る限り、マージンは維持または拡大でき、市場の上昇を支える鍵となります。


アップルのインフレ対策
アップルはiPhone 17の基本モデル(256GB)を799ドル、Proモデル(256GB)を1,099ドルに据え置き、顧客への関税転嫁は見られません。これは最新の関税措置でスマートフォンが明示的に除外されたことも寄与しています。ただし、マクロ環境はインフレ圧力が強まっており、ボストン連銀の試算では包括的な関税パッケージがコアインフレ率を最大約2.2ポイント押し上げる可能性があります。アップルの防衛策は古典的で、製品構成やストレージ容量の引き上げ、サービス収益の最大化、中国からインドへの組立移転(現在ではiPhoneの約5台に1台がインド製)を進めることで、関税によるコスト増にもかかわらず企業の粗利益率(前四半期は46.5%)を高水準に維持しています。
廃棄物から価値創出へ:繊維リサイクルの産業化
ラグジュアリー業界は過去2年間、オーガニック(自力)成長が期待を大きく下回り苦戦しています。中国の景気減速、インフレ圧力、そして真のイノベーション不足が重荷となっています。この状況下で、ブランドは自己革新の新たな方法を見つける必要があり、繊維へのリサイクルはその一手となり得ます。ファッションは、古着が本当に新しい服に生まれ変わる変革の瀬戸際にあります。長年、再生素材は主にペットボトル由来でしたが、繊維リサイクルはついに産業規模に到達しつつあります。数万トンの衣類を処理できる工場が登場し、廃棄物を価値ある資源に変えるこの工程は、ファッションの未来を再定義しています。機会は膨大で、毎年数百万トンの衣類が埋立地に送られる一方、世界の繊維のうちリサイクル由来は1%未満です。AIによる繊維スキャンや水熱・化学プロセスなどの革新的技術が、綿やポリエステルの分離・再生を可能にします。さらに、EUや米国の州では生産者に衣類リサイクルの資金負担と管理を義務付ける規制が進んでいます。勢いは増しており、既存ブランドは新しいリサイクル業者から生地を調達し、世界中で数十の工場が能力拡大を計画中です。投資家にとって、これは政策・イノベーション・消費者需要に支えられた構造的成長産業の台頭を意味します。繊維リサイクルは単なるサステナビリティの物語ではなく、ファッションにおける次の成長フロンティアとなりつつあります。
作成:Algebris Investments Global Equity Team
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