マーケットビュー - グローバルクレジット

Global Credit Bullets | 2026年6月29日(月)

新たに就任したウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の影響が徐々に市場に現れ始めています。その背景は、シンプルに「信頼の回復」です。ウォーシュ氏は、FRBが引き続きインフレ率2%目標を重視し、伝統的かつ正統的な金融政策スタンスを維持する姿勢を明確に示しました。これにより投資家は、米国の金融政策が今後もぶれないルールに基づき、物価安定を最優先するものになるとの安心感を得ました。ラテンアメリカで進みつつある政治体制の変化についても検証します。
2026年6月29日

FED 「信認」の回復

ウォーシュ新議長率いるFRBの影響が、早くも金融市場に表れ始めています。その原動力は単純明快で、「信頼」の回復です。ウォーシュ氏は、インフレ率2%目標を改めて重視する姿勢を示し、伝統的かつ規律ある金融政策運営を維持する方針を示したことで、米国の金融政策が今後も物価安定を最優先に据え、ルールに基づいた予測可能なものであることを投資家に確信させました。

市場の反応は明確です。ドルは上昇し、米国債のイールドカーブはフラット化、10年物インフレ期待(ブレークイーブン・インフレ率)は大きく低下しました。こうした動きは、中東情勢の緊張緩和による影響もあります。中東情勢の改善を受けて原油価格は年初来安値圏まで低下し、コロナ禍以降のレンジ下限に近づいています。

しかし、より重要なポイントは、市場が再びFRBの政策運営を信頼し始めていることです。これまで数カ月間は、政治的な圧力やインフレの高止まりによってFRBの信認に疑問の声も上がっていましたが、ウォーシュ氏の就任後のメッセージ発信は、し、その見方を一変させるものとなりました。

ラテンアメリカ 右派への揺り戻し

ラテンアメリカでは現在、政治体制の転換が進行しています。この起点となったのは、2023年のアルゼンチン大統領選でハビエル・ミレイ氏が勝利したことです。それ以降、この右派化の流れは地域内全体へ広がっています。エルサルバドルではブケレ大統領が治安重視路線を強化し、エクアドルではノボア大統領が反ポピュリズム路線を推進しています。また、ボリビアではロドリゴ・パス氏が政治の方向転換を進めており、ペルーでは(正式に確定すれば)ケイコ・フジモリ氏が、コロンビアでアベラルド・デ・ラ・エスプリエラ氏が、それぞれの国をより市場重視かつ親米的な政策路線へ導く可能性があります。ベネズエラは依然として特殊なケースですが、ポスト・マドゥロ体制に移行した場合、より市場志向かつ米国寄りの政策路線へ進む可能性が高いとみられています。

次の大きな焦点はブラジルです。財政問題が深刻化するなか、次期大統領選挙は極めて重要な意味を持つでしょう。一方、メキシコではシェインバウム政権が依然として強い支持基盤を維持しており、政治的な転換はまだ先とみられます。地域全体として見ると、その方向性は明確になっています。

長年にわたるポピュリズム政策や財政規律の緩み、政策運営への信頼低下を経て、有権者たちは現在、治安の改善、財政規律の回復、強固な制度運営、そして米国との関係強化、を掲げる政権へと支持を移し始めています。

金融市場にとって、これは大きな転換点となる可能性があります。同地域の資産には、長年の財政規律の緩み、治安の悪化、制度面の不透明性を背景に、大きなリスクプレミアムが依然として織り込まれています。新政権が財政健全化と統治機能の強化を最優先課題として実行できれば、そのリスクプレミアムは大きく縮小する余地があります。実際、一部の国ではそのプロセスがすでに始まりつつあります。

作成:Algebris Investments Global Credit Team

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